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少年拳法の一本

 将来を担う少年拳士へ、
 「守りの拳法をするな、攻めの拳法をしろ!」
 拳法の構えは、前に出て構えます。攻める姿勢を大事にするのが拳法らしさ、拳法の神髄ではないでしょうか。取られるのを恐れず、攻めの拳法を続けて欲しいという想いで一筆書かせていただきます。
 

 当てない徒格試合の少年拳法は、攻め、受けも、踏み込む、腰をいれて突く(体重移動、軸が動く)のが基本です。撃力が基準の大人と違い、体力に任せた力技ではない、非力な子供でも撃力を発揮出来る重心移動は不可欠な要素だと思います。
 

1.少年拳法の一本の基準の認識
攻めも受け返しも、踏み込み重視(体重移動、軸が動く)前足が前に動く

攻めの一本の基準
踏み込んでいるか、前に足が動いているか、(前に足が動くという事は、前足重心になる。体重移動、軸が動く。)腰、肩が回っているか、手打ちになっていないか

受け返しの一本の基準
カウンターの場合は、攻めと同じ。
相手の攻撃を身体で捌いて、返す(捌きは基本前後の動き、応用が横の動き、上級が反身、退身等。)
 
 所定の部位に命中し、「決め」があり、残心がそなわっている
 ※決め…気合いが充実し、相手を撃倒する撃力と冴えがある
 相手の受け手または手足などに防がれていない
 または相手の受け技が弱すぎて、受けとは認められない
 意思のある加撃で、まぐれ当たりでない(無意識の意思による加撃はあり)
 

 何でもありの実撃の防具試合では、踏み込みを意識していなくても、突いたあとに後ろ足重心になると、逃げ打ちとみなされ不十分、撃ち負けないように、自然と前足重心、体重移動、軸が動いているはずです。

 この基本を理解していないのか、昨今大会少年試合において、体重移動、重心移動の無い手を出すだけの待ち拳、手打ち(先に攻める方が不利になる)で審判旗が上がるのも見受けられるようになりました。体重移動の無い手を出すだけの待ち拳の旨味を知ってか、待ち、先に攻めない、消極的な試合をする選手も増えてきたような気がします。

 攻める方は、腰を入れて突かないと有効技にならない(手打ちより時間がかかる)のに対し、受け返しが、体重移動、重心移動の無い手を出すだけの待ち拳(腰を入れるより手打ちのが早い)を有効技とするならば、先に攻める方が不利になる、不合理だと思いませんか?
 踏み込みの無い手打ちの待ち拳を有効技とするなら、動かない試合、観ていて面白くない試合も多くなるでしょう。

 後出しじゃんけんを有利とするならば、せっかく少年拳法のレベルが上がってきたのに、先に手を出す、技を出そうとする選手のモチベーションが落ちる、少年拳法のレベルが落ちる、拳法の衰退に繋がるのでないかなと危惧をしております。

 空手の構えは、後ろに下がって構えます。拳法の構えは、前に出て構えます。空手との差別化は、拳法は前に出る、攻める姿勢を大事にするのが拳法らしさ、拳法の神髄ではないでしょうか。
 観ていても面白い、技と技で勝負できる拳法であるべきだと思います。

ファイル 2063-1.jpg
(写真:全国大会挑戦3年目、県勢初の決勝進出 ななせ(小1) with コタロー(幼年) 2012/9/16)

 子ども達には、攻めも、受けも必ず踏み込む、肩、腰を回す、手打ちになるな、攻めろ、待つな、積極的な拳法、観ていて面白くない試合をするなと指導しています。

 拳法の普及、競技人口の拡大に向けて、少年拳士の育成、レベルアップのために、攻める拳法に、観ていても面白い拳法にしていくべきではないでしょうか。

 日本拳法の醍醐味は、成人のなんでもありの防具試合だと思いますが、拳法の普及、競技人口の拡大に向けて、将来を担う少年拳士の育成はもちろん、日頃の鍛錬の成果を発表する大会試合で、一本の旗を上げる重みの責任を、勝敗を決する審判員の技術の向上、レベルアップも大事なことではないかなと思います。
 
 

2017日本拳法総合選手権大会小学5年男子一回戦シード、二回戦(19試合)
 
 拳法は、攻める姿勢を大事にし、撃力を求めます。下半身が動いていない、体重移動の無い手を出すだけの手打ちは撃力が弱いとされ不十分、突いたり、蹴った後、残心が後ろ足体重の構えになると逃げ打ちと見なされ有効技とはなりません。空手は前拳(刻み)は有効技ですが、当てない少年拳法では、前拳は撃力が弱いとされ、有効技とはなりません。

 防具を着装しているので思いっきり自由に撃ち合えるのが醍醐味ですが、防御がおろそかになる弊害もあります。「攻撃は最大の防御なり」と言いますが、防具が無ければ、当てられれば痛い、怪我をする。空手では有効技だけど、拳法では有効技にならないと、拳法ルールに甘えて、防御がおろそかになる、相手に突かせない、触らせない、空手ルールでも、有効技にならない防御(ディフェンス)技術を磨くことも大事な事ではないかなと思います。
 

日本拳法 今治拳友会